運命の一夜を越えて

目を閉じていても、彼の息遣いを感じてしまう。

かなり気を使ってくれていることが伝わる彼の運転はブレーキもカーブでのハンドルのきり方も慎重で、スピードも速すぎず遅すぎず。

運転、上手だな・・・。


そんなことを考えているうちに、私は眠りの世界に落ちてしまった。




「彩?」
その声に瞳を開ける。
まだ全身が痛い。
特に腰。

少し顔をゆがめながら意識をはっきりさせようとしていると、心配そうな顔が私を覗き込んできた。