運命の一夜を越えて

瀬川渉はすぐに携帯電話で私が行けるような病院を探して、急患を受けてくれるか連絡をしてくれた。
さすが一流貿易会社勤務・・・関心するほど要件をまとめて端的に話をしている。

あっという間に私を受け入れてくれる病院を探した彼はすぐに車のナビに場所を入力した。

その行動の早さに少し圧倒されながら私はただぼーっとその姿を見つめる。

「寒い?」
準備が終わると私のシートベルトを閉めながら彼は聞いてきた。

正直に頷くと、彼は車の後部座席から何かを取り出し、私の膝にかけてくれる。

「これ、かけてて」
体にかけられたのは黒のダウンジャケット。

私よりも体の大きな彼のジャケットは私の体がすっぽりとおさまるくらい大きかった。

私がそのダウンジャケットに少しでも体を入れようと、自分の体を小さく丸めると彼は車の暖房も最大限に強めてくれた。