運命の一夜を越えて

咳が出ない程度に深呼吸をする・・・

目を閉じて自分の体が少しでも回復することを念じた。


こんなのつらいうちに入らない。
大丈夫。

私は大丈夫。


遠い遠い昔の記憶がよみがえる。

自分の命が明日残っているかどうかさえ分からなかった日々。

あの頃の痛みに比べたら大丈夫だ。

そうわかってはいても・・・・心と体に刻まれたつらい記憶がよみがえり寒さのせいなのか、思いだした恐怖のせいなのか、なにのせいで体が震えているのかわからなくなりそうだった。