運命の一夜を越えて

昔。

私が小学生のころ、私は小児がんに侵された。
生死をさまよった私は臍帯血輸血で生き残ることができた。

でも、その時病院の先生から告げられている。

治療に使用した薬や、生死をさまようほどのダメージを受けている体では子供を産むことができないだろうと。

私は病から自分の命を勝ち取ったかわりに、女性として生きる喜びのひとつである、命を生み出すという奇跡は起こせない運命を背負った。


それでもいい。
仕方ない。

だって私は生きられるんだから。

そう自分に言い聞かせながらも、やっぱり妊娠している女性を見たり、小さな子供を見ると、胸がぎゅーっと苦しくなるほど痛んだ。