運命の一夜を越えて

私は言葉を失った。

出産をしてすぐに行った手術で、声帯や周りの組織を切り取る手術をした。


はじめは少し悲しかった。

私は愛する息子の名前を呼ぶことも愛する人の名前を呼ぶことも、愛をささやくこともできない。


でも、それでもいい。

生きていれば、それでいい。

生きていれば、不安なことも苦痛も、怒りも絶望だって味わう。

だって生きているんだから。

それでも、きっとそれ以上の幸せだってやってくる。

誰にでも無条件に幸せもやってくる。