運命の一夜を越えて

「・・・っ・・・」
ちょっとした私の表情の変化で渉はすぐに私に起きる変化を感じ取ってくれる。
「痛くなってきたか?」
「・・・ん・・・」
私の脇腹の痛む箇所をピンポイントでわかりさすってくれる。
「先生呼ぶか?」
「・・・ん・・・」

私は我慢をすることをやめた。

これは決してあきらめたわけじゃない。
生きるために誰の力だって借りると決めたから。

生きることにどん欲になると決めたから。

「わかった」
ナースコールを押す前に渉は私のベッドを倒して体を横向きにしてくれる。
さすりながらナースコールで私の状況を伝えてくれる。