運命の一夜を越えて

「この子が生まれたら、海に連れて行きたいな。」
「・・・うん」
「ついてる」
私の口についたご飯粒をとりながら話す渉。
こうして未来の話をするようになった渉。
これまで私たちは未来の話はできなかった。

「一緒に釣りしたことなかったよな。俺、釣りうまいんだぞ?」
「・・・釣り・・・したい・・・」
「釣ったばっかりの魚がまたうまいんだ。」
きらきらとした瞳で話をする渉。
本当に未来に希望を持っていることを感じる。

「明日にはこの手にこの子を抱ける。」
「うん・・・」
「楽しみだなー」
「うん・・・」
「元気に産まれて来いよ」
お腹に話しかけながら、幸せそうに微笑む渉。