運命の一夜を越えて

「赤ちゃんは今産んでも、きっと生きられる。俺たちの子だ。大丈夫。」
「・・・」
「この子の命を守ることも大切だ。この子のタイミングもあるかもしれない。でも、この子の母親は彩だ。彩しかいない。」
「・・・」
「この子の命も、彩の命も俺には大切だ。」
「・・・うん」


私たちはこうして赤ちゃんを少し早いけれど産むことを決めた。

出産は2日後。
帝王切開で出産をする。

渉はその日から仕事を休んで私についていてくれた。
残り少ない二人の時間を味わうように、片時も離れずそばにいてくれた。

個室の病室は付き添いを許可されていて、寝泊まりしながら渉は私をサポートしてくれた。

点滴の効果が切れてしまうと、再びわき腹に激痛が走る私。
体を冷やさないように温めてくれたり、痛い箇所をさすってくれる。