運命の一夜を越えて

「一人で泣くなって言っただろ」

その声に扉の方を見る。

そこには、帰ったはずの渉が立っていた。

「なんで一人で泣くんだよ」

困ったように微笑みながら一歩、また一歩と渉は私に近づく。

「おいで」

両手を広げて私のベッドへと近づく渉。

私は迷わずにその胸に抱き着いた。



「彩の声が聞こえた。泣いてる声が聞こえたんだ。」

全身に響く渉の声。
いつものお日様の匂い。

大好きな温かい私の居場所。