渉のいなくなった部屋で、一人ベッドの上に座る。
横になるとまた白い世界に吸い込まれてしまうような気がして、何となく横になることができない。

それでも一人になった部屋で、もしかしたら私は・・・本当に死んでしまうのかもしれないと思ってしまう。

その日のために覚悟を決めて来た。
準備もしてきた。

なのに、いざ自分の体が日に日に思うように動かなくなり、息が苦しくなったり、今日のように耐えきれない激痛を経験すると・・・リアルに”死”を感じてしまう。

愛する人のいる家にいることに私には意味があった。

病院に入院することは私にとっては安心材料になるかもしれない。
何かあってもすぐに対応してもらえるのはわたしにとって今必要不可欠なサポートだと思う。

でも・・・少しでも長く家族といることに私は大きな意味を持っていると感じていた。
迷惑をかけてしまうけれど、一緒にいられる時間に限りがあるとわかるからこそ、家族のもとにいたかった。