運命の一夜を越えて

「自分はがんが治ったのに、お父さんをがんで亡くして、そのことに罪悪感を感じて、幸せになったらいけないって、どこか自分に十字架を背負わせているようなところもありました。そんな時渉に出会った。

渉は私に気づかせてくれた。私自身の本当の想いを。そしてぶち壊してくれた。大きな見えない何かにとらわれていた私の心の扉を、ものの見事に。

渉、私、すっごく今幸せだよ。私の人生が今突然終わりを告げたとしても、私、すっごく幸せ。胸を張って言える。

だって生涯でこんなにも愛せる人と出会えて、結婚ができて、愛をもらえて、そんな世界一愛している人の子供を授かれたんだもん。毎日幸せすぎて怖いくらい、私、本当に幸せです。私と出会ってくれてありがとう。愛をくれてありがとう。命の奇跡を授けてくれてありがとう。

でも・・・」
そこで彩は涙をこらえるように言葉に詰まる。

瞳にみるみるうちに涙が満ちていく。

そして泣き笑いのような顔になりながら、彩は話を続けた。