運命の一夜を越えて

「彩はいつも誰かと距離をとっていて、時々ものすごく悲しそうな顔をしていた。きっと病気の経験があの子に壁を作ってしまって、父親の死があの子に責任を負わせてしまったのね。でも、わかっていても私にはどうしてあげることもできなかった。渉君があの子を変えてくれたの。」
言葉にならない分、俺は首を横に振る。

俺よりも背の低い彩のお義母さんは体は彩のように華奢で小さい。
なのに、ものすごく大きく見える。

「感謝してる。私の息子になってくれてありがとう。娘に幸せな家庭を作ってくれてありがとう。」
その太陽のような微笑みに俺の罪悪感で壊れそうだった心が包まれていくのを感じる。

忘れかけていた自分の母親のぬくもりや優しさを思い出す。

「彩と私の秘密、教えてあげる。」
そう言ってお義母さんは一度隣の自分の部屋に戻り、大きな段ボールをもって戻ってきた。

「これ、私と彩の秘密。」
俺はお義母さんから段ボールを預かって中を見る。