点滴をしながら真っ青な顔をして彩は病院のベッドに横になっている。
その姿からは到底妊娠後期の妊婦だとは思えないくらい、彩はかなり華奢だ。

妊娠前から体重が減っていた彩はお義母さんの登場により、つわりでさらに落ちていた体重をもとに戻した。元から痩せていた彩。今はお腹だけがポッコリと目立ち、ほかはかなり痩せた状態だ。

無理もない。

彩はたくさん食べるように努力をしている。
彩はなるべく安静にしようと努力している。

でも、どうしても彩が口から摂取した貴重な栄養は、お腹の赤ん坊と、病気にもっていかれてしまっているのだ。

そっと髪を撫でる。

ものすごく痛がっていた彩。
救急車で搬送されるときもずっと彩はお腹の赤ん坊を守ってほしいと俺に懇願していた。

意識などもうないくせに、ずっとずっとうわ言のように言っていた。