運命の一夜を越えて

少しずつ少しずつ、私のお腹は大きくなった。
もうすぐ妊娠後期に入る。

赤ちゃんは順調に育っていて大きさも週数相応と言われている。


「彩」
「・・・おは・・よう・・・」
「おはよう」
ベッドに横になったままの私のもとにスーツに着替えた渉が来た。
「行ってきます」
「いって・・・らっしゃい・・・」
私の頭を撫でてから渉はお腹の赤ちゃんにも挨拶をする。
そっとセットしている渉の頭を撫でる。

私はあまり話が長くはできなくなった。
首にできた腫瘍が気管を圧迫しはじめて、痛みも感じる。

胎児に影響の少ない漢方の鎮痛剤くらいしかつかえず、痛みとの戦いで一日が終わることもあった。