運命の一夜を越えて

「どんどん料理上手になってる」
渉の包丁さばきを見ていると日に日に手際が良くなっているように見える。

キッチンには渉が買ってきたキッチン用品も日に日に増えている。

「休んでろ?今日はつわり、ひどかったんだろ?」
一度手を休めて、私の前髪をかき上げる。
「髪、切りたいけどしばらくいけないね。」
「だな。体調が落ち着けばいいけどさ。」
「うん。」
少し冷たい渉の手が心地よい。
妊娠してから体温が上がったことを私は感じている。
だからと言って冷たいものを飲んだり、薄着をしていると渉にかなり叱られた。

「皮、むかないの?」
「あぁ。野菜は捨てるところがないらしいんだ。皮や根っこに栄養がある。よく洗えば、多少食感は気になるかもしれないけど、体にはかなりいいみたいだぞ?」
「そうなんだ」
白米は玄米に。野菜の皮や根も食べる。無添加の調味料に自分で煮だしただし。
渉はかなりこだわって食事を作ってくれている。

つわりが落ち着いている夜は、渉が作ってくれるだしの聞いたおかゆを食べるのが私の楽しみでもある。