運命の一夜を越えて

「ちゃんと生きてる」
「・・・へ?」
私の手の上に、大きく熱い渉の手が重なる。

渉の方を見つめると、渉は私の手をギュッと握りしめたままうつむいていた。

「うれしくないわけないだろ」
「・・・え?」
「愛おしくないわけないだろ」
「・・・渉」
「一生懸命生きてるんだ。」
「・・・」
「俺たちのもとに来てくれた奇跡なのに・・・」
何を言っているのかが分かった瞬間、私は涙があふれて止まらない。
「うれしくないわけないだろ」
その声が震えている。

「なのに、なんで・・・」
どうして病気は私を選んだのだろうか。
どうして、病気は今というタイミングを選んで再び私の元へ来たのだろうか。