「つわりがはじまる人もいます。つわりは個人差があり、ほとんど症状のない方もいらっしゃいます。何か変わったことがありましたら連絡ください。」
「はい」

私はもらったばかりのエコー写真を大切に握りしめたまま、そのあとの組織検査を受けた。

麻酔はしないでほしいと渡部医師にお願いすると、渡部先生も高梨先生のように重く暗い表情で頷いた。
それだけ私の体の状況は悪いのだろう。無謀なことを私は先生たちにお願いしているのかもしれない。

「どこにがんがあるんですか?」
「詳しく検査をしていないので、全部は見つけられていません。」
その言葉に、いろいろな箇所にすでに転移していることが分かる。

「わかっているのは、おそらく頸部と胸の筋肉とわきの下の」
そこまで言われればすぐにわかる。

リンパ節に転移しているのだ・・・。