産婦人科での検査はあくまでさらっとしたものだった。

きっとこういう時『おめでとうございます』と言われるものなのだろう。
でも誰も私に祝福の言葉はくれなかった。

ただ静かに・・・私は超音波検査でモニターに映る小さな黒い点を見つめた。
「説明してください」
私の言葉に、高梨先生は少しうつむいて考えるようにしてから話始める。

「この黒く色が変わっているのが赤ちゃんのいる胎嚢という部屋です。その中でちかちかとしているのは赤ちゃんの心臓です。赤ちゃんの大きさからして現在妊娠8週から9週くらいだと思われます。」
先生の静かな説明に、内診台で横になっている私の瞳の端から涙が流れた。

「写真・・・もらえますか・・・?」
「・・・でも・・・」
「ください・・・お願いします・・・」
先生は少し黙ってから頷きエコーの写真を私にくれた。