運命の一夜を越えて

「彩!」
信じられないという渉の表情は今まで見たことの無い表情だ。

「検査は受けない!」
両手で渉の腕をつかみながら渉に懇願する。

「だめだ。検査を受けて、治療しよう。子供はあきらめよう。」
「いやだ」
「彩!」
「いやだ」
「いつかまた授かれるかもしれないだろ。」
「でもこの子じゃない。」

何も実感はわかない。
まだエコーでお腹の子を見たわけでも、お腹の子の存在を感じたわけじゃない。

でも・・・
今までずっとこの奇跡が起きることを願って来た。

今私のお腹にいるこの子が、私に奇跡を運んでくれたのだ。