運命の一夜を越えて

「彩」
渉が私のベッドに膝をつき、体をギュッと抱きしめてくれる。

衝撃が強すぎて涙も出ない。
大好きな渉の香り。ぬくもり。
お日様みたいな私の一番大好きな場所。

いつもこの場所にいれば安心できる。
守られているように、心が落ち着く。
なのに・・・今日は違う。

「希望を与えて置いて、つらい選択を告げなくてはならない事実に、心が痛みます。」
「・・・」
「正直、現段階で妊娠を継続することは困難です。」

心のどこかで初めからわかっていた。
そう言われることを。

奇跡を授かった。
その喜びを素直に感じることができなかったのは・・・

きっとこの命を守れないとわかっていたからだ。