運命の一夜を越えて

愛する人の子供が産めるかもしれないという、私が今まで一番望んでいた奇跡が起きようとしているのに、素直に喜べないのはこの病室の重たく息が詰まるような空気のせいだ。

「先日の検査の結果ですでにわかっていたのは、あなたが妊娠しているということともうひとつ。」
怖い・・・
その言葉の続きを聞くことが怖くて全身が震える。

震えだした私の手を渉が握ってくれているのに、それでも震えているのは、きっと渉の手も震えているからだ。

この震えは決して感動ではない。

怖くて震えているのだ。
恐怖だ。

「血液検査の結果、がんの再発です。」
その言葉に私は視界が真っ白になり、ベッドの上に起こしていた体から力が抜けた。
「彩っ!」
すぐに渉が背中を支えてくれる。