運命の一夜を越えて

「真っ白な天井に吸い込まれそうな感覚を思い出してすごく怖かった。過去に引き戻されそうで不安で、逃げ出したいくらいだった。」
「うん」
「あの時も、渉がこうして手を握ってくれてうれしかった。」

今では遠い昔の話のように思う。
でもほんの一年と少し前の話。

「あの時はこんなに幸せな未来が待っているなんて思ってなかった。」
「うん」
「でも・・・」
「でも?」
「初めて会った時から私も渉が大好きで、手を握ってくれた時、離したくないって思ってた。」
「ふっ」
優しい微笑みを取り戻した渉。
その笑顔が大好きだ。

「離さないよ」
そう言って私の手をさらにギュッと握ってくれる渉。