運命の一夜を越えて

「間に合ったー。」
食事は8時までといわれていた私。
渉がプリンを買ってきてくれたのは7時40分。
ギリギリで間に合ったプリン。

渉が間に合わせてくれたプリン。

ひんやり冷たくて体にしみていくような優しい味。

結局何も食べていなかった渉も一緒にプリンを食べて、私たちは早々と布団に入った。

「大丈夫」
私がプリンを食べている様子を見て安心したようで、渉は穏やかな微笑みを取り戻していた。

そう何度も繰り返しながら、私が安心して眠れるように再び他愛もない話をしてくれる。
「ありがとう」

温かなぬくもりのなか、私は眠れぬ夜を過ごした。
同じく渉もほとんど眠らないまま運命の検査入院を迎えた。