運命の一夜を越えて

「ばか。謝るなって。」
「渉・・・何か食べて」
私に付き合ってろくな食事をしていない渉。
「少し、休むから」
私が寝れば渉も食べやすいかもしれない。

少し停止していた思考が戻ってきて、渉のことを考える余裕が出た私。

「じゃあ、寝るまでそばにいる」
渉は私の考えはすぐにわかってしまう。

渉は私の横になっているベッドに横になり私を抱きしめてくれた。

「何か話して」
じゃないと暗い記憶の闇に引き込まれそうで、渉にお願いすると渉は他愛もない話を始めた。

幼いころ、なぜかプライドが高くて北海道の寒い冬でも短パン姿で幼稚園に通っていた話。
中学生のころひとめぼれしたスーパーのお姉さんが実は男だったこと。
大学生の時に懸賞に当たって段ボール5箱分のプロテインが当たってありがた迷惑だった話。