運命の一夜を越えて

「でも何か食べないと。」
心配そうな渉。
せっかく作ってくれたのに。

無理やり口を開けて、少しだけおかゆを口に含むと急に吐き気がして私は渉から離れてトイレへと駆け込んだ。

「彩!」
扉の向こうで心配している渉の声がする。

胃の中にはほとんど食べ物はなくて、吐くこともできない私。

落ち着いてからトイレの扉を開けると、渉が心配そうな顔で待っていた。

「おいで」
そう言って口をすすいでから私を抱き上げて寝室のベッドに横にしてくれる。
「さっき病院の先生に電話をしたら、明日点滴してくれるから無理に食べなくてもいいって言ってもらったから。今日はゆっくり休もう。明日お風呂入ろうか。」
「ごめんね・・・」
せっかく作ってくれたおかゆを吐いてしまった。