運命の一夜を越えて

「何か食べないと。」
今日は梅干しおにぎりとお味噌汁を少ししか食べていない私を気遣って、渉が立ち上がろうとしても、私はまた服をつかんで離れたくないと渉に伝える。
「おいで」
渉はそう言って、私の体を抱きしめたまま立たせ、抱き合ったままキッチンへと向かう。

「くっついてろ」
私を自分の背中に回して、渉は食事の用意をしてくれた。
医師の話で、食事できる時間が決められている私。

渉は食欲がないであろう私を気遣って、あたたかいおかゆを作ってくれた。

「おかゆ、食べられそう?」
ソファに戻り、まだ渉にくっついている私に渉がおかゆを食べさせようとしてくれる。
でも食べられそうな気はしなくて口を閉じたまま首を横に振る。

「何なら食べられそう?」
渉の言葉にもう一度首を横に振る。