運命の一夜を越えて

一体どうやって帰ってきたのかわからない。

気付けば家のソファに横になり、渉に抱きしめられていた。

明日には私は病院に一日入院をして、詳しい検査を受けなくてはならない。

渉が私の職場に連絡してくれていたことなど、その時の私はそこまで気をまわす余裕すらなかった。

「用意してくるから」
そう言って私から離れようとする渉の服をギュッとつかみ、離さないで、離れないでと目で訴えると、渉はすぐに私の隣に戻る。
「離れない。大丈夫。」
大好きな渉の胸の中で、私は何もできないままぼーっと目を開けていた。
目を閉じると思いだしてしまうから、今は瞬きすらしたくない。

渉は何もできない私に付き合って、ずっと背中をさすってくれたり抱きしめていてくれた。