「いい食べっぷりだね」
「お腹すいてたんで。」
本当に私、お腹がすいている。今日は大きな会議で、クリスマスに限定販売するコスメの戦略をつめたところだ。昼食はサンドウィッチひとつ。
「俺、がつがつ食べてくれる人好きだなー」
「そうですか?」
私はグラスを置いて、大口でピザにかぶりついた。
「食べても太らないタイプ?」
男性の言葉にセクハラだぞと突っ込みを入れながら私はもごもごピザを咀嚼しながら答える。
「燃費悪いんです」
「そうなんだ」
これは真実だ。私の体は燃費が悪い。食べても食べても身にならないタイプ。体系はやせ形に入ると思う。伴って胸だってそんなに大きくない。
「彩ちゃん、きれいだよねー。スタイル抜群だし、目も大きいし。」
私に視線を向けて話しかけてくる男性。必死な内心が伝わり、拒絶反応が起きそうだ。私はこの場所に”恋愛”を求めているわけじゃない。ただ、”飲食”を求めている。そう考えると相手には申し訳ないけど、ただこの場だけでも楽しい時間をお返しするのが、私のポリシーだ。
「そんなことないですよ?お世辞が上手なんですねー。」
再び愛想笑いを浮かべて返事をする私。男性は、私の反応にほっとしたような笑顔になった。