「再検査しましょう」
その言葉を聞いた瞬間からそれまで見えていた景色が一変した。
幸せに満ちていた毎日に、見えるものまでがすべて変わっていたことに今更気づく。

隣に座り話を聞いていた渉がすぐに私の手を握ってくれた。

今まで、毎年受けている検査で再検査といわれたことはなかった。

思考が停止してしまっている私にかわり、渉が詳しく先生に質問をして話を聞いてくれている。

「彩?」
途中で私に声をかける渉。
「・・・」
ただ、渉を見つめるだけで何も言えない私に、渉は少し緊張した表情に私を安心させるためにと笑顔を作り、私の肩を抱いてくれた。
「大丈夫だよ。」
「・・・」
そう繰り返し言ってくれる渉。