仕事をしている時も一日中渉の顔が浮かんだ。

忙しくしていれば忘れられると思っていたのに。

考えずにすむなんて思っていたのに。

何をしていても頭から離れない。
苦しくて苦しくてたまらない。


きっと渉の方がつらいはずだ。

だから、早く私を忘れて、離れて行って・・・
お願い・・・これ以上あなたを傷つけたくない・・・

痛む胸をギュッと握りながら、私は終電ギリギリの時間まで仕事をした。

その日は、渉からの連絡はなかった。
付き合い始めてから、連絡が一度もなかったのは初めてだった。