運命の一夜を越えて

「これだけでいいから食べて。あっためたから。」
「いらない」
「俺、送っていくから時間少しは余裕出来るだろ?」
電車で行くよりも車で送ってももらったほうが断然早い。
「いい。電車で行くから。」
「彩、ちゃんと食べないとだめだ。何キロやせた?」
「痩せてない。」
「はかってないだろ」
「体重計ないし。でも元気だからいいでしょ」
わざと乱暴な言葉で伝える。

「彩」
「なに」
「心配なんだよ」
「心配なんていらない。私だって大人だし、渉に心配されなくてもちゃんと気を付けてる。自分のことはちゃんとできるから。」
「彩」
バックに乱暴に必要なものを入れていく私の後ろに立ちながら渉は私を見つめている。
その手には温めてくれたという梅干しのおにぎり。