運命の一夜を越えて

帰っていなかった・・・

フレックスタイムを使ったって、私が出勤する時間に合わせて部屋を出てから身支度をしに一度家に帰ればかなり遅くまで渉だって仕事をしないとならないはずだ。
お互いに年末の忙しい時期。

本当なら私にかまっている余裕なんてないはずだ。

明るい部屋で渉を見ると、渉も少しやせたように見える。
目の下のクマだってひどい。

私のことばかりじゃなくてもっと自分に気を使ってよと怒りたくなる。

「いらない」
私は昨日渉がコンビニで買って来たであろう、私の好物の梅干しのおにぎりをいらないと振り払うようにして身支度を続けた。

「彩」
少し低い声で渉はおにぎりを持ちついてくる。