運命の一夜を越えて

やっぱり味がしない・・・

そんなことを思いながらいつものようにただ咀嚼して体の中に食べ物を入れる作業をする。


卵焼きを食べ終わってからちらりと顔をあげると渉が私の方を見ながら、今にも泣きそうなくらい切ない顔をしていた。

・・・いっそ怒鳴ってほしい。
怒って私をののしってほしい。

なのに・・・渉が私よりも痛そうな苦しそうな顔をするから・・・・私の心は引き裂かれるくらい痛む。まっすぐに見つめていたら泣きそう。

そう思って慌てて視線をそらして私は温かいウーロン茶を口に運んだ。

すっかり小さくなっている私の胃袋では、ほとんど食べることができなくて、渉もほとんど食べなくて、時間だけが過ぎていく。

いつも大きな口で食べ物を頬張っておいしそうに食べる渉なのに、今日は口に入れる食べ物の量そのものが少ない。