運命の一夜を越えて

渉の車が停まったのは2回目に二人きりで会った時に行った居酒屋だった。
店の中に入ると、渉は店員に私の好物ばかり注文をした。

「先に飲み物お持ちしますね。何にしますか?」
店員の言葉に渉はすぐに「あったかいウーロン茶で」と答える。

向かいあって座った私たち。
私は目のやり場に困って、ちらちらと調理場の方を見るふりをした。

何か渉に言われるだろうと思うと、その言葉がいつ来るのかどきどき身構えてしまう。

なのに・・・

どきどきしている私の気持ちを知ってか知らずか渉は何も言わずに、私と同じように調理場の方を見ていた。

テーブルに乗りきらないくらいの食事が運ばれてくると、渉は私の方に箸を渡してくる。

私は箸を受け取って、近くにあった卵焼きを口に運んだ。