運命の一夜を越えて

「行くぞ」
急につかまれた手首が少し痛いくらいだった。
渉は私の手首をつかんで、方向を変えて歩き出す。

その先には渉の車が停まっていた。

渉は助手席の扉を開けて、私を車にのせる。

今まで見たことの無いような渉の雰囲気に、私は抵抗することができないまま車に乗った。

すぐに運転席に乗り込んだ渉は、私の方をちらりと見てから、まだしめていなかった私のシートベルトをしめた。かすかに香る渉の香りがすでに懐かしい。

渉はそのまま何も言わずに車を走らせた。

ちらりと運転する渉を見ても、渉は私の方を見ようとしない。

怒ってるのだろうか。