運命の一夜を越えて

「うん」
一緒にいる時間が長くなるだけ、思い出の物も増えていく。

「渉も財布、使ってくれてるんだ」
「もちろん。名刺ケースもネクタイも、財布も、使ってる」
選んだ時の気持ちも、渡した時の渉の表情も今でも鮮明に思いだせる。

「行こうか」
「うん」
渉の運転するレンタカーで私たちは寄り道をしながら渉の実家へと向かった。

渉の実家へは車で空港から3時間以上かかった。

「雪がふるギリギリの季節だから、やっぱり寒いな。」
「でも、景色がきれいで、寒さもぴったり」
「北海道、はじめてだもんな彩。」
「うん」
「時間は限られているけど、なるべくいろいろな場所に行きたいな。」
「うん」
嬉しそうに北海道を案内してくれる渉。
幼いころの思い出話もたくさんしてくれて、私はずっと来たいと思っていたこの場所に来られてよかったと思いながら、渉の横顔を見つめた。