「腹が減ったら腹いっぱい食べて、楽しかったら笑ってさ、怒りたかったら怒る。」
「・・・」
「時々しか見せないからなー」
「え?」
「なんか、彩は見えない壁つくるからさ。すぐに。」
私と手をつなぎながらも少し先を歩いている渉の背中が少し寂しそうに見える。

「早く、全部見せてくれたらいいのに」

渉には何でもお見通しだ。

「頼れる存在にならないとなー俺。」
「もう十分頼ってるよ・・今日も・・・心強かった」
「まだまだだろ」
「うんん。うれしかった。」
「?」
「不安な時にそばにいてくれて、心強かった。」
「本当に?」
「本当に」
「本当の本当に?」
照れ臭くなって「しつこい」という私に渉は笑った。