運命の一夜を越えて

「大丈夫か?」
私の顔を覗き込むその距離。
反則もいいところだ。

私は心の中で絶対にこの人と一緒に居酒屋に行くもんかと誓った。

危険だ。

危ない。

心の危険信号は真っ赤に点滅している。

「へいっおまち!」
店主の声に瀬川渉は私の背中から手を離して、視線を変えた。

よかった・・。
何とか視線から逃れられた。

そんなことを思いながらいる私の方を再び見た瀬川渉は「ほいっ」と、私のどんぶりにチャーシューを入れた。