運命の一夜を越えて

正直めんどうだ。

でもラーメンは好き。

この男の好きだというラーメンの味にも興味はある。

それにまだ食べられる。




面倒な男を断るにも、この誘いに乗ったほうが楽かもしれない。

何度も言い寄られたら面倒だし。



「私、ラーメンには厳しいですから」
「ははっ」
私の言葉に無邪気な笑顔を見せるその男。瀬川渉。
この無邪気な笑顔に、ちょっぴり胸がギュッとつかまれたことを、私は気づかないふりをした。