運命の一夜を越えて

「ここが一番おいしいから」
と絶対に私に自分の思う一番おいしい部分を食べさせたがる。
私が遠慮すると、私の口元まで運んでくるくらい、おいしいものをおいしく食べてほしい願望があるらしい。

彼はガトーショコラの生クリームがたくさんついている部分をスプーンですくって私の口元へ運んでくる。

「ほら」
私はきらっきらした目で進められるものを、口を開けて受け入れてしまう。

まるでひな鳥が親鳥にえさをもらっているようだ。

彼の一口は私にはかなり大きくて、ほっぺをぱんぱんに膨らませて咀嚼する私を彼はじーっと嬉しそうに見つめてくる。

「おいしいか?」
口がたべものでいっぱいで答えられず私が頷くと、満足そうに自分も食べ始めた。