運命の一夜を越えて

「私の父はなくなってていないの。」
私は彼に話始めた。

これは実家に送ってもらうことを決めたわけじゃない。
何か言わないと、返事をしないと。
私の言葉を不安そうに待っている彼に何か言わないとと、言える言葉を探して口にする。

「実家には母と父の母親、私からしたら祖母がいて、二人暮らし。」
「そうなんだ」
「周りには何もなくて・・・個人商店くらいしかなくて・・・あとは田んぼと畑くらい。私の住む地域は雪はあまり降らないけど、寒さは厳しくて・・・」
「うん」
私が選んで口にする言葉を彼は嬉しそうな表情で私を見つめながらうんうんと頷いて聞いてくれている。
「パンツは2枚履かないとお腹痛くなっちゃうくらい寒い」
「ははっ。」
空気を変えたくて少し冗談を含める。
見事に彼は笑ってくれて、空気が少し変わった。