「でも・・」
「俺たち、いい年なんだ。それに離れて過ごしてるご両親だって、愛娘のこと心配だろ。ちゃんとあいさつくらいしたい。」
彼の申し出は・・正直ありがたい。ちゃんと考えてくれていることが伝わるし、いい加減じゃないことがわかる。

でも・・まだ彼との未来は長くはないと思っている私には困ってしまう申し出だ。

というのも。

お正月に実家に帰れなかった分、私は実家に帰ることを母と約束していた。
その約束を果たさないと、きっと私の顔を見ていない母の心配は収まらないと思った私は次の週末に実家に帰ることにしていた。

彼はそんな私を実家まで送るというのだ。

「もしも今回は会わないほうがいいなら、突然すぎだし、ご両親の都合もあるだろうから。その時は今回は挨拶まではしないにしても、送る。俺、長距離の運転全然苦じゃないし。北海道までだって自分の運転で帰るくらいなんだ。近いもんだ。」
・・・。