運命の一夜を越えて

渉は少し眉間にしわを寄せながら真剣に何かを考えているようだった。

少ししてから難しい顔のままで話を続ける。

「確かに子供と目が合うとなんか癒されるし、子供の笑い声を聞くとこっちまで幸せな気持ちになる。子供が泣いてると俺まで泣きそうになる。」
それって子供が好きってことじゃん。

「でも、他人の子供の話だろ?何も責任がなくてただその子の瞬間的な表出を見ての反応だからさ。きっと子育てって大変なことも多いだろうし。もちろん楽しいこととか嬉しいことも倍増なんだろうけどさ。でも一瞬じゃなくて一生続くって思うと・・・”かわいい”って表現はできるけど、”好き”かどうかって言われたら・・・まだわかんないかな。」
「自分の子供、欲しいって思わないの?」
意外な返事だったからか、私はその答えをもっと深く聞きたくなってしまう。

「自分の子供じゃなくて、俺が好きになった人との子供だろ?好きな人と、自分の子供だったら・・・どうかな。好きな人とちゃんと一緒に時間重ねてさ、いろんな思い共有して、時間がたたないとわかんないかな。想像できない。」
「・・・そう・・」
渉は私のどんな言葉も真剣に考えてくれている人だ。
私の話したことをちゃんと覚えていて、考えている。