運命の一夜を越えて

「ごめん、俺の話ばっかり。」
「うんん。楽しい。」
正直、誰かの話を聞くことがこんなにも楽しいと思ったことはないかもしれない。
何に興味があって、何がすきで、どうやって今まで人生を歩んできたのか、そして、何を見てどう感じるのか・・・とにかく、私は瀬川渉という人をもっと知りたくてたまらない。

「彩は?」
「え?」
「彩の地元の話、知りたい。」
「・・・私の地元はすごい田舎でね・・・」
私が話始めると渉はまるで自分の話を続けているかのようにきらきらとした目になり、身を乗り出してきた。

「子供のころ、よく近くの山で遊んだの。秘密基地作って。」
「すごいなそれ、やってみたい」
「おじいちゃんが秘密基地をつくるためにって余ってる薪をくれて、一日中友達と一緒にその基地づくりをしたの。女の子じゃないみたいでしょ」
「ははっ。彩らしい。きっと活発な子だったんだろうなー。」
病気になるまでは私は本当に活発な子供だった。
肌は一年中やけていて、ほとんど家にいないくらい、外で走り回るような子供だった。