「だから食べられないようにこうして成長したんじゃない」

「……」



嗚呼、まさか。



「あぁ、もしかしてあれだけ食べさせられて何もしていないと思った?」



まさか…この子。



「いつも夜中に30キロほど走り込んでいたんだよ。魔力が使えなかったからね」



そんな原始的な方法で消費していたなんて。



「でも、マリーの料理は美味しかったよ。母さんは料理ができないから」

「余計な一言を言うな馬鹿者」



大魔女様は少なからず恥ずかしのか、そっぽを向いてしまった。
いや、今は大魔女様が料理できないだとかそんなものが問題なんじゃない。


問題はもっと大きくて別にある。

バレないように少しだけ翡翠に…いや、ジェイドに視線を寄越して静かに閉じた。


私は大魔女様にご子息であるジェイド様と結婚すると決めた。

それは自分の為であり、人間である翡翠の為に。

しかし、翡翠は実は人間ではなく大魔女様のご子息ジェイド様であることが判明した。


ということは、だ…私はジェイド様と結婚するということになる。



「…あぁ、やられたわ」



まさか、こんな年下の子に惚れられたうえに嵌められて、惚れさせられるなんて。



「マリー、ジェイドとなら結婚するんでしょ?」

「えぇ、そうね」

「なら、もう翡翠はいらない」



偽物の僕は用無しだね、と笑って私に額にキスを落としたジェイド。

母親が目の前にいるというのにこんなことをするなんて…ほら、大魔女様凄い顔してるわよ。