「ジェイド様は素敵なカッコいいお方ですよ」
「ふふ…大魔女様も同じようなことを言っていたわ」
皆して同じことを言うのね。
「期待しておくわ」
「はい、是非。期待は裏切らないと思います」
「凄い自信ね」
「ジェイド様はそれほどのお方ですから」
そう言う彼女の顔が、少し嬉しそうに見えた。
「この先で大魔女様がお待ちです」
「ありがとう」
「はい、それでは後程」
彼女は頭を深く下げると、足音を立てずに下がった。
1人扉の前で佇む私は一度呼吸をして扉に手を掛けた。
「待っていたぞ、緋色の魔女。マリーよ」
「お待たせいたしました、大魔女様」
豪華な椅子に深々と座り、赤ワインを口に運ぶ大魔女様に扉の前で頭を下げる。
そこにいるだけなのに、私を見ているだけなのに…すごい圧力というか。
「そう畏まるな」
そう笑った彼女は、自分の前に座るよう言い私も同じワインを用意してくれた。
いつも飲んでいる者とは明らかに違うワインで、口に含んだ瞬間それは体をビリッと痺れさせた。
初めて飲むワインで、こんなに美味しいと感じたことはなかったのに…飲んだワインはとても美味しかった。