「そんな固くなるな。取って食いやしないよ」

「…は、はい」


そう言われても、大魔女様と一対一で対話するなんてこの一度しかないでしょう?
こんなこと人生で予想した事なかったから緊張して当然よ。


「それで、話しというのなんだけど」


大魔女様が何を話したいのかは分からないけど、発せられる一言に集中し酷く緊張する。
ドクドクと心臓が五月蝿い。


「貴様の所に“翡翠”というガキがいるそうだな」

「え…」


大魔女様がどうしてそのことを。


「なんだ、名前違ったか?」

「あ、いえ…翡翠です。合っています…ですが、私大魔女様に話した覚えはないのですが」


もちろん、他の魔女たちにも話した覚えはない。

そこそこ仲のいい魔女はいても、彼女にさえ話したことはないのに…9年間隠し続けていたのに、どうして大魔女様が翡翠のことを知っておられるんだろう。


「あぁ…なんだ、そのことか。私は何でも知っている。みくびるなよ」


みくびってなど、決してしていない。
ただ…___


「男の人間との生活はどうだ?」


___…彼女の情報網は恐ろしく怖い。