『まこ、だめだろ。こんなに濡らして』
「あっ…あおく…っ」
『悪い子だ』
「やぁ…ごめ、ごめな、さ…、んっ」
想像の中の兄に咎められるだけで、じわりと涙が滲む。
すぐに腰が震えるほどの快感に襲われ、頭の中の蒼人が絶頂を促す。
『ほらまこ、イくところ見せて?』
慎ましく隠れていた秘芯を指できゅっと捕らえ、そのまま輪を描くように撫で回せば、あっという間に高みに駆け上がる。
「あっ、あおく…い…あっ…!」
今朝まで兄が着ていたであろうスエットを自分の身体に巻き付ける。
まるで蒼人に抱かれていると錯覚するように。
身体の奥から突き抜けてくる衝動に耐え、ぴんと張り詰めた後ゆるやかに弛緩する。
頭は真っ白で何も考えられないはずなのに、一刻も早くこの部屋から出なくてはという司令だけは脳から正確に送られてくる。
まずは乱れた息を押し殺すように整えた。
絡まるように抱きしめていた蒼人のスエットを丸めて、先程と同じようにその辺に落としておく。
ティッシュで指を拭いベッドを抜け出すと、自慰後の脱力感だけじゃない虚しさが全身を襲う。
一体自分は何をしているのか。
真琴は何度目かになる問いかけを自分に投げかける。
ダメだとわかっているのにやめられない。
血の繋がった妹で、恋愛になる要素なんて何一つ持ち合わせてはいないのに。
諦める。
それをどうやったらいいのかすらわからなかった。



