自分はこうして蒼人のベッドにもぐりこむことが出来る。
手紙も自分で渡せないあなた達とは違うと、バカげた優越感で自分を慰めるために、わざわざその週預かった手紙を持ってくる。

ポケットをいっぱいにする彼女たちの想いの大きさに、自分の胸が締め付けられるのに気付かないふりをして。


「あおくん…好き……」

彼女たちのことを言えた義理じゃない。
自分だって己の気持ちを伝えることなど出来ない。

だからこそ想いを綴った手紙を簡単に他人に託す彼女たちが許せなかった。

羨ましくて妬ましい。
そんな感情を抱く自分こそがいちばん嫌いだった。


いつからだろう。

兄妹という枠を超えた感情に気が付いたのは。
部活での筋トレで日々逞しくなっていく身体に抱かれたいと思うようになったのは。

思い切り息を吸う。
もう部屋の主のぬくもりなど残ってはいないベッドで、真琴は目を閉じた。

静まり返る部屋。
ほんの少しだけ感じる蒼人の匂い。

真琴は罪悪感に押しつぶされそうになりながらも、レギンスの中に手を入れた。

「…っ、んっ」

下着の上からゆっくりと触れると、そこは既に潤んでいて静かな部屋に濡れた音が響く。

そろりと下着の奥に指を伸ばし、溢れる蜜をぬるぬると塗り広げながら兄の声を勝手に想像する。