それでも、自分に向けられた愛情が少なからずあったと信じてみようと思えるのは、他でもない蒼人がそう言ってくれるから。
「……ハンガリーなら治安も悪くないし、ブダペストに日本文化センターの図書館もある」
「うん」
「父さんたちがまこのことをちゃんと考えてるってわかっても。慣れるまでは寂しい思いもさせるかもしれなくても…。連れていきたい。もう、離れてるなんて無理だ」
懇願するように抱き締められ、その背中に縋るように手を回した。
すると決して離さないとでもいうように、その腕にさらに力がこもる。
「ひ…っく、好き、あおくん…っ」
「まこ」
「行く。一緒に…、連れてって、あおくんの行く所に…」
「まこ、泣かないで。約束したろ?ずっと一緒にいるって」
それは幼い頃の約束。
『ずっとずっといっしょ?』
『約束。ずっと一緒だよ』



